秋の七草を思うと奈良~平安時代がしのばれる
暑かった残暑が過ぎ夏の終わりの寂しさを感じたのもつかのま…秋が始まっています。
2020年10月1日は中秋の名月、そして今日(2日)は満月です。
今夜は、美しい月が見えるでしょうか?
満月とススキとおだんごでゆっくり空をみてみましょう。
そして始まっているのが秋の七草。
秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七草の花
山上憶良の歌です。
萩の花、尾花、葛花、撫子の花、女朗花、藤袴、朝顔の花。
ハギ、ススキ、クズ 、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウですね。
「秋の七草」は、奈良時代の歌人、山上憶良(やまのうえのおくら)が万葉集において選定したといわれます。
春の七草は七草粥にして食べますが秋の七草は観賞を目的として選ばれたそう。
わたしが子供の頃は秋の七草は有名で春の七草は忘れられていました。
ですが都会ではどうでしょうか?
七草粥の方が話題に上っていることが多いような気もします。
今の(10月2日)季節に一番見かけるのはクズの花とススキ。
クズは秋の七草で咲き始めるのが最も早く夏の終わりから咲き始めています。
葛は絢子さまのお印のお花でもあります。
現代ではハギ ススキ クズがいちばん多く見かけます。
かわらなでしこも夏から咲いていましたがほんの少しでした、弱く増えにくいのかも?
キキョウも見かけますが減っていると感じて寂しい。
実家の庭にキキョウが一本だけ咲いているのが愛おしいです。きっと鳥が運んだのではと思います。
オミナエシとフジバカマも減っている感じがします。
実家の山道を普通に歩いていても見かけないのです。
昔は学校の行き帰りの道にたくさん咲いていたのに…その頃存在しなかったピンクの外来種やキバナコスモスばかり増えて…
外来種に負けて絶滅しないことを祈ります。
動物の絶滅危惧の保護だけでなく植物も保護しなければ…と思いませんか。
もう絶滅したのでは?と思う野草は少なくないのです。
秋の七草…葛とススキはよく見かけるけれど
くず
なでしこ
ききょう
はぎ
すすき
おみなえし
ふじばかま
秋の七草を話題にする人が少ないのが寂しい
秋の七草で今でもいちばん使われているのは、かずら工芸のクズの茎かも知れないですね?
あとは生け花で秋らしさを表現するのに、すすき、はぎ、ききょう、なでしこ、でしょうか。
ふじばかま、おみなえし、はどうなっているのでしょう?
葛は田舎でも都市の住宅街でも よく見られますね?
葛は田舎や地方都市ではあらゆる道端や木々の間、川べりに広がり木にまとわりつき景観を損ねるやっかいな植物になっているのは残念ですね。
春の時期、先の葉がベージュ味を帯びた緑の新芽で葉っぱは2~3cmくらいの時、てんぷらにするとおもしろい味です。
ちょっと布を食べているような感触であまり味はないけれどおいしいのです。
根は葛粉になり、トロミやお菓子に使われますが、国産100%の本葛粉は高価でとても少ないのです。
たいてい外国産やジャガイモでんぷんや、トウモロコシ粉を混ぜています。
根を掘るのは大変な作業だからする人がいないのでしょうね?
葛根湯は根を利用して漢方として使われ、茎はかずら工芸といって風情ある篭(かご)が編まれます。
秋の七草はいつでもある野草だったことがなつかしいです。
わたしはひと山越えて小学校に行っていたので5キロくらいで歩いて約1時間くらいでした。
家のまわりは畑と道や川と小さな野原と山。そして学校に行く山の中の一本道の両側は松の木ばかり。
家から学校に行くまでに秋の七草はみんな咲いていましたが同じ道でもうオミナエシもフジバカマも見かけないのです。
わたしは秋の七草では、なでしこがいちばん好きです。
透明水彩でスケッチしました。
ききょうもきれいです。
子供の頃、両手でパッチンとふうせんのようなつぼみをつぶしたりしていました。
ごめんなさい、こどもは残酷ですね。
フランスの監督さんだったと思うのですが、『日本はススキの国というイメージです。』と言っていました。
寂しげな秋の夕暮れはわびさびの日本のイメージとかさなるのでしょうか?
わたしは秋になるとお月さまとすすきとだんごの絵が浮かびます。
あなたは秋の七草に何を思われるでしょうか?